建築士のご主人から毎日のように届く、新居の図面という名のお便り。 日常を軽やかに、と願う家族の理想を追求した26坪の住み心地とは。
100枚の図面から生まれた
わずか26坪の理想の空間
ガルバリウムの外壁と天然乾燥材の美しい木目の印象が際立つ内観。相反する魅力に思わず引き込まれるN邸は、昨年6月に完成したばかり。建築士であるご主人が作図した平面図を[エコワークス]に持ち込み、ともに作り上げたのは26坪というコンパクトなサイズ感の家。当初は「やりすぎでは…!? 」と[エコワークス]の担当者も驚いたという図面を読み解くと、そこには等身大の日常を豊かに彩るヒントが凝縮されていた。
完成に至るまでの過程は、決して平坦なものではない。ご主人は帰宅後、毎日のように図面を引き、最終的には100枚もの設計図を描く中で、工夫を凝らしつつも余分なものをとことん削ぎ落としていく作業の繰り返し。その中でも坪数をグッと抑えたのは、奥さまの暮らしの理想が“小さくて、孤立しない空間”だったから。「普段の仕事で手掛けているのは、教育施設や医療施設などの大型の建築物が主。住宅は初めての試みでしたが、家づくりを考えていた1年ほどは帰宅後、ほぼ毎日図面を引いていました。その都度、妻にアドバイスをもらいながら、最終的には100枚以上溜まっていました」とご主人。その甲斐あって「建築のことはまったくわかりません(笑)」という奥さまも図面を見ればイメージが湧くように。「最終的には“これだ! ”という図面が出来上がりました」と奥さまは声を弾ませる。
心も身体も自然体が一番
等身大の心地よさを追求
そんな思い入れの深い図面を形にするパートナーとして[エコワークス]に依頼した理由を尋ねると「SDGsを取り入れた未来基準のものづくりを推進する姿勢に共感しました。最高レベルの耐震性や長期優良住宅を標準化している点も有難いですね」とご主人。
一方奥さまは「私は“住むこと”を大切にしたいという思いがありました。オシャレな家はたくさんあるけれど、住むとなるとちょっと違う。確かな素材で作られたシンプルな空間が私にとっては家事をしても、寛ぐにしても、楽で心地いいのです。エコワークスさんの宿泊体験にも参加して、それを確信しました」と奥さま。素材や設計に至るまで、等身大の心地よさを追求した新居の住み心地は上々のようだ。「季節や気候に左右されることなく、いつでも自然体で居られる清々しい空間。家事ストレスも解消され、日常そのものを楽しめています」。
必要な機能を吟味して
生き生きとした暮らしを
1階はLDKと水回り、2階は和室と子ども部屋、多目的スペースという構成のN邸。中は26坪というコンパクトな空間ながら、窮屈さとは無縁だ。広がりを生むための秘訣をご主人に尋ねると「吹き抜けの抜け感は、リビングの階段で代用。ロフトや子ども部屋の家具の作り付けは、将来的に必要なくなるので初めから作りませんでした」との答えが。また、一般的には6畳サイズを基準に部屋を作るものの、N邸ではどの部屋も4.5畳サイズを基本としている。「モノが多いと窮屈な印象になるので、出しっぱなしはNGです。天然乾燥材の温かみのある表情は、インテリアとしての役割も担っていますね」。穏やかな空気感ながら、時に大胆な発想で暮らしを創造するNさん一家の、好奇心弾ける日常を垣間見た。